カテゴリ:トピックス

役に立たないことが書かれているよ。

2009/09/06

失敗例から学ぶ実践的クレーム処理法

ひとこと多くしゃべってしまったばかりに、相手を無駄に怒らせたこと、ありませんか?
しゃべっているうちに、何故か相手が怒りだしたこと、ありませんか?
そういったことを避け、健全な人間関係を送る。それは素晴しいことだと思いませんか?

今日は読者の皆様が少しでも円滑な会話を楽しめるよう、現実にあった失敗例から「どこがいけなかったのか」「どうするべきだったのか」を解説していこうと思います。

さて今回取りあげるのは、twitterという場で行なわれた以下のやりとり。赤色のほうを解説していきます。

@tarbrick "完全なオリジナル(中略)もはやそこに価値があるのかな〜と思ったりする。> 世の中の真面目に創作活動を行っている方々を馬鹿にしているのですか? pixivというサイトを運営してたくさんの方々の絵を預かっている方の発言とは思えません。約13時間前 webで

オリジナルに価値がないとか盗作OKとかちょっと勘違いされているようなので説明します。約10時間前 webで

気持良く話していたところに、横槍を入れられ、そこへの対応を初めた第一声です。こちらのサイトからここに至るまでの流れを読んでおくと捕みやすいかもしれません。

なお、私から言わせてもらえば、これは0点。まったく良いところが見あたりません。もしあなたが緑色の方の立場だったとしても、こう答えられたらどう思うでしょうか。なにかしら「むっ」としたものが込み上げてこないでしょうか?

何故そうなってしまうのでしょうか。これからひとつひとつ説明していきますが、読者の皆様もどこがいけないのか考えてからこの先を読んでみてくださいね。


ではまず前半から。オリジナルに価値がないとか盗作OKとかは相手の発言の要約ですが、あまりにもおざなりです。おうむ返しは効果的に使えば「あなたの言葉はきちんと聞いていますよ」という意思表示が出来、相手を安心される効果があります。しかしそれは相手の言葉を尊重し、大切にしていることがわかるから安心するのです。乱暴な要約をとかと投げ遣りに繋げるのは、相手からいただいた資料をざっと目を通したあと「ようするにこういうことでしょ。だらだら書くんじゃねーよ」とつっかえすようなもの。安心どころか不快です。

先に進みます。ちょっと勘違いされているも完全にアウトです。ちょっとには「わずか」という意味がありますが、同時に「大層というほどではないが、かなりの程度・分量である」という意味も存在します。(参考 goo辞書) わかりづらく誤解を招きやすい言葉のひとつです。通常時に利用するのは自由だと思いますが、相手が自分のことを不快に思っているような状況ではちょっと不適切ですね……と、もちろんこのちょっとは「かなり」という意味合いですが。

次の勘違いも好ましいものではありません。ここでは「誤解」と言い変えたほうがより良いでしょう。

さて次が一番大きな問題箇所、されているという部分です。「する」の受け身、もしくは尊敬の意になりますが、いずれにせよ相手について言っています。確かに相手が勘違いをしたのは事実かもしれません。しかしそれを怒っている相手にそのまま言ってしまっては問題外です。「私は懸命に語ったのに、貴方が勝手に誤読をした」「貴方の読解力のなさゆえに、無駄な説明をこれからしなければならない」といった印象を抱くのは目に見えています。たったのこれだけで、例えその意思はなくとも、「私は悪くない」と言ってしまっているのです。そんなことをしてこの後が有利に進むわけがありません。最悪です。

最後に説明しますと来ています。これもアウトです。本当に誤解であるのならば、今度は誤解を招かないように説明しなければなりません。Twitterという文字数制限の厳しい場所で、また返信の速度が速く話の腰を折られやすい場所で、1から10まで詳細に説明出来るわけがありません。よってこの場で説明すべきではありません。

さて、全体を通してみましたが、そこらかしこが攻撃的であることがわかったと思います。今回の場合、相手がもっていた自分への期待を否定されて怒っている状況です。まだ「出来ればそうであって欲しくない」という段階です。そこに棘のある言葉の返礼。相手には落胆と同時に、怒りを増幅させる他ありません。このあとにいくら説明があったとしても、最早冷静には読めない、聞いてはくれないでしょう。最初のたったひとことで、誤解を解く機会は永久に失なわれてしまったのです。

「俺の話を聞けぇ(By CKB)」なんて言われる方がいらっしゃいますが、話は聞けと言って聞かせるものではありません。まずは聞かせる環境を作ってやらないといけません。ヒトラーは観衆が自然と静かになるまで、演説を初めなかったと言います。聞きたいと思わせることが重要なのです。

つまりここは、1mmたりとも押してはいけません。全力で引くのが望ましいのです。というわけで、私の考えるこの時点での正解は以下です。(115文字)

誤解を招くような発言をしてしまい申し訳ありません。もっとわかりやすく、きちんと書くべきなのですが、この場の文字数制限と自らの力不足のためうまくいきません。後日別の場に改めて書きますので、お待ちくださいますようよろしくお願いします。

まず一番最初に謝ります。謝ることで相手に聞く余地を作ります。しかし謝罪したのは誤解を招くということに対してですから、自分の主張も相手の主張も傷付けません。なお失敗例では最後に謝ってますが、論外です。これだけ棘のついた発言をしておいて謝ったって、なんの効果もありません。

次にここで書けない理由を明示します。相手につっこまれる前に、こっちから言うのです。なにかしらの議論をするときはつっこまれる場所を作らないことが重要ですが、どうしてもスキが出来る場合には先にこっちでつっこんでおくのが良いです。そして最後に言いきりの形にしておく。ここで間違っても「お願いできないでしょうか?」と書いてはいけません。つっこみどころになってしまいます。

これでなにも帰ってこなかったらしめたもの。違う話題を振ってしまいましょう。それでも帰ってこなければ、もうあとは改めて騒がれるまで放置で良いでしょう。別の場所に改めることにより、スルーできる可能性が出てくるのです。改めて騒がれたとしたら、つまりそれは相手はあなたの話を聞きたくて仕方無くなったのです。話を聞いてくれるのですから、これはもう喜ぶべきところです。

もしなにかしらの返事が来たときはなにを言われても具体的に答えてはいけません。せっかく全力で引くという立場を明確にしたのです。答えることでだいなしになってしまいます。「まずは改めて書きますからお待ちください」「改めますからお待ちください」とだけ答えます。「なにを書くのか」「どれに対し返事をするのか」「誤解とはなにか」「とっととYesNoで答えろ」「どこで書くのか」「いつ書くのか」全部「お待ちください」で対応します。返事をしないことで主導権を握りっぱなしにするのです。「ずっと俺のターン」です。失敗例は答えてしまっているからこそ相手に主導権を握られ、そのままずるずるといってしまい、最終的に無理矢理打ち切らざるをえなくなっています。駄目ですね。


というわけで失敗例から学ぶ実践的クレーム処理法、いかがでしたでしょうか。出典元では、この最初の発言の失敗により、騒ぎはどんどんと大きくなり、自社が持つサイトの言論統制までして収めざるをえない状況に陥いってしまいました。

自分のなにげないひとことで相手の怒りを買う。これはどんなに気をつけていても起こりうることです。しかし怒りを表明されたとき、どう対処すれば良いかを知っていれば、恐れることはありません。そしてネット上の文章は長期間残るものです。過去の炎上の主原因がどこにあったかを考えることは、もしかすると、実生活で役立つことかもしれませんね。


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書いた日: 2009/09/06 05:58 カテゴリ:topic

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作成:スラマイマラス
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