ヒトの性格は、これまでの記憶が作り、周囲の環境が育てるものだ。あれだけ"強かった"エミが、ここまで弱々しくなってしまっているのは、見ているだけでつらい。読んでいるだけで、痛い。
とはいえ、恐らく最初のときも、きっとこうだったのだろう。でも今度は、誰もいない。エミにしてみれば、それは唐突に巨人の世界に放りこまれたものなのだろう。しかも全てが見知らぬ世界。例えネコであろうとも、まったく違う生物に見えるのだから。そしてもうそこで一生を過ごさなければならない。
でもそこから、ゆっくりと立ちあがろうとする姿は、とても説得力があった。絶望的な状況だけしっかりと描いて、なんだかよくわからないけどそこから立ち上がってる、最近そんなモノばかりだけど、これは違う。ヒトの助けと、自分の心で、非情な現実にもう一度向かうまでが丁寧に描かれていて。
「リスタート」このサブタイがすごく似合う。確かに二人は今、もう一度スタートラインに立ったのだとはっきりわかる。リセットされた悲しみを乗りこえて、ここからもう一度、始まるのだ。すこしわくわくするのは何故だろう。
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書いた日: 2009/09/14 15:17 カテゴリ:感想 » oniki